例年通り、今年も学生講師ボランティア説明会の時期が来ました。
コロナ禍をきっかけにオンライン授業を開始し、今でも各教室での対面授業とハイブリッド授業を続けていることもあり、活動10年を迎えた去年は全国から200名を超える現役学生が無給を基本としたボランティア講師にも関わらず、継続的な参加をしてくださりました。
今年度も開塾タイミングは4月の第3週土曜からですが、その前週に当たる13日土曜の14時より講師説明会を予定しています。開催情報は当ページの最下部でご確認いただくとして、なぜ当塾には優秀な学生講師が多数集まるのか、新たに続くであろう10年後を見据えながら私見を綴りたいと思います。
✅無料塾を必要とする子ども達の背景と、学生ボランティアに求める大切な心得
当塾は開塾以来、多くのボランティアさんに協力をしてもらいながら活動を継続している食事&自習室つきの無料塾です。前段に書きましたが、中でも毎年たくさんの学生ボランティアさんが講師として当塾を支えてくれるからこそ、全体で100人ほど(完全無料な生徒は毎年7割強)の生徒を受け入れる体制が出来ていると言えます。
補助金に頼らない活動ながら10年以上の運営継続が出来た今、都内トップ校や国立高校など難関高校レベルの学校に合格する生徒も珍しくはありません。がしかし、これは当塾のポリシーでもありますが、生徒の実績を塾の合格実績として強調することは控えるようにしています。
と言うのも、無料塾を必要とする子ども達の本質的な背景を想像していただければわかる話だとは思いますが、彼らの多くが何かしらの理由で心に傷を負い、自身の親はおろか他人への不信感を感じ始めている子ども達であることを知っているから、です。
それは、
学校でいじめに遭い、不登校になったことが理由かもしれません。
または、
両親が不仲で、家に居場所がないことが理由かもしれません。
もしくは、
常に空腹で、日々の生活に不安を感じる経済状況であることが理由かもしれません。
それとも、
大学進学を親から疎まれたり、進学に偏見のある地域に住んでいることが理由かもしれません。
あるいは、
難病にかかったことで入院期間が長くなり、自らの未来を悲観していることが理由かもしれません。
etc…
そんな経験をしてきた子ども達が、講師の皆さんひとりひとりによる勉強を通じた寄り添いと伴走の結果、少しずつ勉強の楽しさを感じるようになっていきます。将来を自分で切り拓こうと努力するようになっていきます。これは講師ボランティアのみなさんが、子ども達にとって「身近な憧れ」になってくれるからこそ起こる変化でありますが、結果的には生徒本人が努力をした証なのです。だからこそ、当塾では合格実績の喧伝を控えている、とご理解ください。
教室や食事を用意し、生徒とボランティア講師を繋ぎ、保護者との連絡をこまめに取りつつ各教室と連携しながら支援者を募ることは無料塾運営において大変な仕事ではありますが、支援対象の子ども達を笑顔に出来るのは講師ボランティアのみなさんがいてくれるからこそ、果たせる結果なのです。
私からそんなみなさんに感謝をしつつも一つだけ、新たに参加をしてくださるであろう方にお伝えする心得があるとすれば、子ども達に勉強の楽しさを伝えるためには学習テクニックを伝えることよりも、大切なコツがあります。
それは彼らの学習を見守るだけでなく、ちょっとした子ども達のSOSに気づける感性を持った「優しいお兄ちゃん・お姉ちゃん」になることです。
学習指導におけるテクニックがあるに越したことはありませんが、子ども達が先生のことを好きになるからこそ、宿題も「自主的に」やるようになるのです。
✅無料塾が求められている社会的役割と、講師説明会の詳細
また本来、有志による無料塾に求められる社会的な役割を端的に書けば、「世の中にはお金だけを目的に行動をする人ばかりではなく、次世代にとっての希望を作り出すことに生き甲斐を感じる人たちがいると言う事実を示すこと。また同時に全ての子ども達が腹を満たし、安心して学ぶことのできる学習環境を作ること。」つまりは次世代に希望を感じさせることに尽きる、と私達は考えています。
だからこそ以下は当塾の設立者と言う立場でも言えることですが、子ども達が安心して勉強ができるよう、参加する全ての有志が気持ち良くボランティア活動ができるよう、言葉掛けを含むお互いへの労りの気持ちを持ちながら教室の雰囲気を良くすることこそが、塾内において最も大切な「当塾に関わる全てのメンバーに共通する仕事」なのです。
もう少し個人的なことも書くならば、酒乱の父によるDV環境で育った私だからこそ、当塾は幼少期の私が感じていた「あったらいいな」をカタチにした場所であり、「子ども目線」を意識し続けることのできる学習スペースとも言えるのですが、10年が経過した今は経済的な問題を抱える子ども達だけでなく、さまざまな環境の子ども達にも対応できる学習環境になったのではないか、と自負出来るようになりました。
4月13日当日はオンラインを含めた説明会ですので、対面でお話しできないメンバーもいるとは思いますが、学生ボランティア講師の先輩達が新たな仲間を迎えることを楽しみに待っています。対面教室はもちろんオンライン教室に至るまで子どもと講師の皆様にとって安らげる場所を目指しておりますので、ぜひ一緒に居心地の良い空間作りをしていただけると嬉しいです。
みなさまのご参加を、心よりお待ちしています。
ステップアップ塾 塾長 濱松 敏廣
————-2024年度ボランティア講師説明会————-
日時:4月13日土曜 14:00-15:30
対象:小中学生に勉強を教えるボランティアに参加を希望している高校生~社会人の方(経験不問)
会場:オンライン会議室(※1)または各教室(※2)
※1 URLは4月上旬にご連絡いたします
※2 東京都:西新宿教室・新江古田教室、福岡県:北九州八幡教室、群馬県:前橋敷島教室、
高知県:高知はりまや教室の5教室。原則として教室参加者は、対面授業参加希望者のみとします。
濱松 敏廣
「子ども時代に感じたDV家庭での不条理を、他の子ども達にまで感じさせたくない。」
そんな想いで、ステップアップ塾を開塾しました。
子ども目線での「有ったらいいな。」を忘れずに、食事つきを前提とした無料学習支援を実施しています。
ヤフーニュースへの寄稿
・「おんぶ」をせがむ小・中学生たち 生育環境で得られなかった「愛」を求めて
・学習塾の自粛で”居場所”失う子たち
・子どもの「スマホ依存」、どう向き合うべきか?取り上げることが「解決」ではない場合も
・“教育格差”是正に向けた1つのヒント 個別指導型オンライン学習のメリデリ
・食べられない子どもたちの現実 “SOS”を見逃さないために大人ができること
誕生日:1976年7月2日
出 身:東京都板橋区
学 歴:明治大学経営学部卒
現 職
・NPO法人維新隊ユネスコクラブ/理事長
・ステップアップ塾/塾長
・株式会社MACH2/代表取締役