今年度から、市ヶ谷の某ホテルのコックさん達が定期的なボランティアとして、プロボノ参加をしてくださっています。
これはそもそも2017年度までメインの調理スタッフとして関わってくれていたYさんが引退されることになり、事務局長のワカ先生が学生時代にホテルでアルバイトをしていた関係から、同ホテルのコックSさんに話を通して実現した話です。
コックさん達が来れない時も、飲食店での調理経験をお持ちのF木さんやOさんが調理の協力をしてくださるため、今年度もおかげさまで食事の安定供給ができるめどはついたのですが、コックさん達にとって体験的な要素が強かった初回と違い、実質メインで調理をしてくださった5月10日は仕上がった晩ご飯の完成度はもちろん、食材を運ばせていただいた見地からも多くの感動がありました。
◆ 「一手間」が表す、喜んでもらおうとする気持ち
当塾における晩ご飯は、子ども達の学力向上においてもちろん大事な要素と考えています。
しかし当然、「できることを、できるレベルで提供することが基本」であり、いただいたものを選り好みするのではなく、なんでも美味しくいただく姿勢であることには今も変わりません。
ただ、フードロスの削減を掲げたセカンドハーベスト・ジャパン様を通じてらでぃっしゅぼーや様から定期的な野菜をいただけているとは言っても、日によっていただけるものも違えば当然いただけるものがない日もあるため、そのことをコックのSさんに伝えていました。
するとコックさん達は、ホテルと関係がある八百屋さん「(株)丸和商店」様から野菜調達の手配をしてくださっただけでなく、空いている時間を利用して下ごしらえまでしてくださっていたのです。
◆ お花の形をした人参グラッセや手作りスープに喜ぶ子ども達
塾での晩ご飯タイミングは低学年のAクラスが19時30分から、高学年と中学生のBクラスでは20時半が目安です。
生徒や講師を合わせると多い時には80人近くの食事を作る時もあるので、16時に入って調理を開始してくれるボランティアさんが1〜2人では野菜を剥くだけでも重労働のため、一手間を加えることのハードルが、とてつもなく高いのが現実でした。
しかし、この日は指定された時間にホテルまで食材を取りに行くと、バットや鍋に入れられた下ごしらえ済みのお料理を、若いイケメンコックのTさん、から手渡され、そこにはなんとお花の形に細工のされた人参グラッセがありました。
その手間や気持ちを想うと私も胸がとても熱くなりましたが、調理を手伝う他のボランティアさんや保護者の方、子ども達が「わぁ、お花の形になってる!」と喜んでいる姿を見た時に、私が当塾の活動を通じて子ども達に伝えたいことをコックのみなさんが体現化してくださったように感じて、本当に嬉しく感じました。
◆ なぜ、ボランティアをするのか?と言う質問への答え
もちろん当日の料理は、他にもF木さんやOさん、そしてお手伝いをしてくれたお母さん達や素材を提供してくださったみなさまの協力のおかげで完成した、「5月10日ステップアップ塾の晩ご飯」と言う作品です。
ただ、今回この話を記事にしようと思った理由は、私がコックさん達から聞かれた質問がきっかけでした。
その質問はこんな内容です。
「失礼に感じられたら、ごめんなさい。私は今までボランティアをしたことがなかったので率直な質問なんですが、なぜボランティアをするんですか?私には本当にわからなくって。。。」
コックさん達と打ち上げをした初日に聞かれたこの質問は、言葉の違いは多少ありますが、過去にもいろんな方から聞かれてきた内容でもありました。
だからいつもと同じように、自分の生い立ちや想いを伝えさせていただいたのですが、木曜の晩ご飯以来、それらは答えとしては微妙に違うような気がし始めています。
もちろんボランティアを始めた理由に生い立ちや想いは関係していますが、なによりも私がボランティアをする、もしくは他人に勧められる理由は、一つの課題を通じて他人と理解し合える瞬間があるから、なんです。
今回の場合、関わる以上プロとして子ども達を料理で喜ばせたいと思ってくれたコックさん達の「一手間」がなによりも、その瞬間を表しています。
金でしか人の価値を見られないような人間の増えた日本社会にも関わらず、ボランティアを前提にする時だけは自分の技術や活動に伴う一手間をお金に換算せずに動ける人がいる。
全員が全員と通じ合える訳ではないけれど、他人と心が通じ合える喜びが、ステップアップ塾にはある。
だから、楽しいんです。やるんです。
再確認をさせてくださったみなさまには改めて感謝をしつつ、関係者のみなさまには心からお伝えしたいと思います。
「ご馳走様でした!引き続き、またぜひよろしくお願いします。^ ^」
濱松 敏廣
「子ども時代に感じたDV家庭での不条理を、他の子ども達にまで感じさせたくない。」
そんな想いで、ステップアップ塾を開塾しました。
子ども目線での「有ったらいいな。」を忘れずに、食事つきを前提とした無料学習支援を実施しています。
ヤフーニュースへの寄稿
・「おんぶ」をせがむ小・中学生たち 生育環境で得られなかった「愛」を求めて
・学習塾の自粛で”居場所”失う子たち
・子どもの「スマホ依存」、どう向き合うべきか?取り上げることが「解決」ではない場合も
・“教育格差”是正に向けた1つのヒント 個別指導型オンライン学習のメリデリ
・食べられない子どもたちの現実 “SOS”を見逃さないために大人ができること
誕生日:1976年7月2日
出 身:東京都板橋区
学 歴:明治大学経営学部卒
現 職
・NPO法人維新隊ユネスコクラブ/理事長
・ステップアップ塾/塾長
・株式会社MACH2/代表取締役