塾長便り

「教育格差の現実とステップアップ塾の事例紹介」を終えて

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ステップアップ塾も、今年でいよいよ5期目を迎えました。

たかだか5年の実績とは言え、年間40人以上の子ども達や保護者達と定期的に向き合う中で、教育機会が不均衡(教育格差)となる彼らの複雑な背景に目を向けてきた私達は、おそらく他の無料塾とは比べ物にならないくらい多様な統計データを持っています。

そんな我々に今年の3月初旬、衆議院議員会館で教育格差をテーマとした勉強会を開こうと、いつもお世話になっている(般社)山元学校からオファーがありました。

本質的な教育格差解消の一助になることができるなら、とキャスティングも含めて主導的な立場で5月30日のイベントを共催させていただきましたが、結果としてさまざまな学びを得ることができた勉強会になったと感じています。

◆ 学級崩壊を無視して教育格差が語られる現実

早稲田と下北沢の二校でステップアップ塾を運営していた2015年、当塾では二期目のことです。

その時は休み時間を利用した会話の延長で、子ども達に学級崩壊に関する質問をしてみました。

すると44名のうち34名が学級崩壊を経験したことがある、と言うのです。

驚いた私は学級崩壊に関するデータを調べようとしましたが、インターネット上でデータにたどり着くことはできませんでした。(調べて見てください。笑)

調べていくうちにわかったことでもありますが、そもそも学級崩壊という言葉はドラマ「金八先生」で扱われた時代を境に公式には使われなくなり、その定義も県単位で異なっているありさまです。

「教育格差は学校教育が原因ではない」と言い切る学者もいるようですが、この時以来、当塾では学級崩壊に関する質問を入塾アンケートに盛り込むことにしました。

と同時に、いつか学校教育にからむ問題にこそ誰かがメスを入れなければ、教育格差を本質的な解決に導くことはできないと考えていたのです。

だからこそ、5月30日のイベントは私達にとって素晴らしいチャンスでした。

◆ さまざまな教育課題と向き合うスペシャリストたち


イベント当日は、学級経営論が専門で学級崩壊の権威とも言える白梅学園大学の増田修治先生、児童発達支援・放課後等デイサービス「ダイアキッズ」の代表でありバンドプリンセスプリンセスのリーダー兼ベーシストとしても有名な渡辺敦子先生、全国の私塾をつなぎ私塾と学校の歴史についても詳しい(公社)全国学習塾協会の会長・安藤大作先生などにパネリストとしてご参加をいただきました。

詳細は当日の記録映像を編集後、アップロードを予定しているため割愛しますが、発達障害の専門家である敦子先生が登壇した理由について軽く補足すれば、山元先生からのご紹介ということ以上に、福祉現場ですら試行錯誤を繰り返す発達障害の子ども達について、有料塾を含む学校外教育者ももっと情報を集める必要があると思うからでした。

私は心理の専門家ではありませんが、教育格差にあえぐ子ども達の中に発達障害の子どもは多くいることを知っています。

しかし保護者やその子ども自体が状況を認知しないまま学力向上を求めるケースは当塾でも多く見られるため、他塾にも警鐘を鳴らす目的を果たすために敦子先生にご参加いただきました。

全国的な学習塾をたばね、公教育との対立をめぐる歴史にもお詳しい安藤先生にご参加いただいた理由は、言わずもがなです。

改めて、増田先生、敦子先生、安藤先生、ありがとうございました。心より御礼申し上げます。

◆ 豪華な来賓と駆けつけてくれたサポーターたち

当日のイベントは衆議院議員会館で行う性質上、国会議員の協力がなくてはできません。

ですがもちろん、我々単独ではこのような貴重な場を確保することはできません。

しかし会場確保はもちろん、前述したような利権の渦巻く学校教育に意見をするためには、かなりのリスクを伴うことが明白なため、山元先生は私に原田義昭議員をご紹介くださり(※)その上で会場協力を選定し、しかも来賓として下村博文先生にお越しいただく段取りまで組んでくださりました。

これは私達が今後、活動を続けるためにも本当に大切な配慮であり、この事実だけでも山元先生には感謝をしても感謝しきれませんが、それに加えて協賛企業(ハビック英語研究所/マダムエプロン専門店ル・タブリエ)からの収益金の大部分を山元学校から当塾に6月1日付でご寄付いただきました。

原田・下村両議員はもちろん、山元先生や協賛企業のハビック代表・小西代表にはこの場を借りて心より御礼申し上げます。

本当に、ありがとうございました。

※ 原田議員のBLOG上で「こども食堂」と言う表記になっているのは、それこそさまざまな政治的な思惑をはらんでいます。当塾は理解していますので、みなさまもご理解ください。

-塾長便り

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